メディウムとしての彫刻
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿では思考と実践の絶え間ぬ繰り返しである私の彫刻制作を論拠に、肉体と世界と彫刻とがどのように関係し合っているかを論述した。肉体は主体と外界の境界であり、同時に両世界をつなぎ合う媒体でもある。こうした肉体と世界の両義的、相互依存的な関係を肉体と物質が直に触れ合う制作により探り、形象化する試みが「私の彫刻」である。まず、身体と世界の関係性を巡っての彫刻制作には、ポジショニング(位置取り)が重要である。ポジショニングとは主体と世界の接続の仕方のことであり、私という主体が身体ごと彫刻素材の中に入り制作するというポジションを取ることで、彫刻はメディウムとして機能し、身体-彫刻-世界の関係を結べると考える。世界の側から彫刻を見てはいけない。彫刻を外側からオブジェクトとして見るのではなく内側から関係性として見なければならない。つまり彫刻とは主体と世界の間に介在し素材に形をあたえる手段により両者を媒介するメディウムという事物なのである。こうした制作のポジション、彫刻のポジションに基づいて、制作した作品から具体例として五作品を揚げて制作研究の報告をした。その全てにおいて私がめざしたのは「身体を型取った、古着、ラテックス、ギプス、段ボールなどを積層して、見るものがその中に入り内と外、身体と空間、主体と世界を関係づける彫刻をつくること。」である。
- 2009-03-31
論文 | ランダム
- 演奏家と聴衆の距離について
- PWR原子力発電プラント2次系水質の自動イオン分析
- 「人権のための戦争」を許す論理--ハーバーマスの「人道的介入」論と歴史的パースペクティブ (特集 平和をつむぐ思想)
- β-Mn(Ge-Sn)三元合金の磁性
- 28aB43P TSAアレイを用いたイメージング反射計の基礎実験(計測)