体外循環補助下根治的腎摘出術後に脊髄梗塞をきたした下大静脈及び右心房内腫瘍塞栓を伴う腎細胞癌の1例

元データ 2010-07-20

概要

51歳男性.肉眼的血尿にて近医受診.CTにて下大静脈から右心房まで進展する右腎腫瘍を指摘され当科紹介受診.右腎癌(stage III)の術前診断のもと体外循環補助下に根治的右腎摘出手術および下大静脈,右心房内腫瘍塞栓摘出手術を施行した.右腎周囲を剥離した後,右腎動脈を結紮,切断後に体外循環下に下大静脈,右心房を切開し右腎,腫瘍塞栓を一塊にして摘出した.肝静脈からの出血が著しく,下行大動脈を60分ブロックバルーンカテーテルにて閉鎖し出血をコントロールした.下大静脈,右心房を人工血管にて再建後に体外循環より離脱した.手術時間9時間.体外循環時間119分.病理組織は淡明細胞癌,G1,pT3cであった.術後はICU管理とし,術後3日目に抜管したが,術後4日目に下肢の不完全対麻痺を認めた.MRIでは第9-10胸椎から尾側にT2強調画像にて高信号を認め脊髄虚血,梗塞性の変化と診断した.術中のブロックバルーンカテーテルによる血流遮断が虚血の原因と考えられた.泌尿器科医にとって下大静脈内腫瘍塞栓を伴う進行性腎癌の手術は時々経験することであるが,体外循環が必要な手術を行う際には,術前に心臓血管外科や麻酔科と協議を重ねた上で脊髄虚血など起こりうる合併症を認識し,その合併症発症の予防対策を十分に考慮しておくことが必要であったと考えられた.

著者

住野 泰弘 大分大学医学部腎泌尿器外科学講座
佐藤 文憲 大分大学医学部腎泌尿器外科学講座
三股 浩光 大分大学医学部腎泌尿器外科学講座
佐藤 文憲 大分大学 医学部腫瘍病態制御講座
住野 泰弘 大分大学医学部腎泌尿器外科学
佐藤 文憲 大分大学医学部腎泌尿器外科学分子病理学
住野 泰弘 大分大学医学部泌尿器科学
三股 浩光 大分大学医学部泌尿器科学
佐藤 文憲 大分大学医学部泌尿器科学

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