大都市における家庭系ごみ排出の空間構造とその時間変動 : 1980〜2000年度の大阪市を事例に
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概要
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本研究では,1980〜2000年度の大阪市を事例に,PLS回帰などを用いてごみ排出にかかわる地域性と1人当たり家庭系ごみ排出量との関係を分析した.この分析から5時点における家庭系ごみ排出の空間構造を考察し,また,時点間比較を通じてその時間変動を追究した.大阪市では,1人当たり家庭系ごみ排出量が最も多い都心部,相対的に少ない都心周辺部,中間的な市域周縁部という3帯の同心円的構造と,市域周縁部におけるセクタ的分化,そして西成区単独の類型によって成り立つ家庭系ごみ排出の空間構造が析出された.これは特に1980〜1990年度で明瞭である.このような構造を生む直接的な要因は主に事業系ごみの家庭系ごみ収集への混入や家庭系ごみの事業系ごみ化という現象であるが,これらの現象の起こり方や影響の度合いは地域によって異なっている.また,1995年度以降,家庭系ごみ排出の空間構造に変動が生じた.事業所減少と夜間人口の回復による居住者属性の変化に起因して都心部の1人当たり家庭系ごみ排出量は減少し,都心部の突出度が低下した.また,製造業衰退,住宅状況の変化,単身者の増加などにより,市域周縁部ではセクタ的分化に代わって住工混合特化型地域,単身者特化型地域,平均的地域の3類型が析出されるようになり,1人当たり家庭系ごみ排出量の類型間差異が拡大した.
- 2008-09-30