流通機能からみた東大阪産業集積の革新性(<特集>産業集積地域の革新性をめぐって)
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概要
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東大阪における「トップシェア企業」の存在や活発な企業間交流に対して,全国的な注目が集まっている.本報告では,「トップシェア企業」への聞き取り調査をもとに流通経路図を作成し,そこに示された"販路の多様性"を手がかりに,産業集積としての東大阪が備えている革新性にせまってみたい.まず,地元経済関係者および「トップシェア企業」への聞き取り調査を踏まえながら,地元経済界がとらえている東大阪像をトレースし,90年代以降における「地域産業の空洞化局面」に際して「トップシェア企業」の取り組んだ経営変革や一般消費者向けの新市場開拓に注目が集まってきた経緯を検討した.それらを踏まえた流通経路図の検討から明らかになったのは,「トップシェア企業」が「ユーザーニーズ」を把握しやすい産業向けでの経験をもとに,困難といわれる一般消費者向けの新市場開拓にビジネスチャンスを見いだそうとしている点である.そうした"販路の多様性"をもつ「トップシェア企業」が地元経済界のリーダーとして存在していることで,経営者の間に「売れるモノづくり」の具体像を意識させるような環境が東大阪にあるのではないか.そこに,活発な企業間交流や異業種交流会が東大阪でおこなわれている背景を見てとれるように思われる.
- 経済地理学会の論文
- 2005-12-30
著者
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