回教と正教のチュバシへの影響
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概要
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当然のことながら、外部の影響をまったく受けないようないかなる宗教、特に民族宗教は存在しない。歴史的発展は相互作用、相互浸透、豊富化を前提としている。チュバシの歴史の初期にあってはそれらはイランとその類型の影響であり、後には回教のそれ、今日では正教のそれである。チュバシの宗教についていえば、自然崇拝やそのあらゆる要素を代表しているのはイランやイスラムの宗教ではなく、民衆のそれであるということができよう。いずれにせよ、日々の生活をつかさどるシステムは単純ではない。他の種類の要素がその中に忍び込み、他者がその生活の中の深いところに群がっている。しかし統合や習合は決して平和と寛容のうちではなく、むしろ支配と従属の原則のうちに行われてきた。本論文はチュバシの宗教の、正教や回教との相互作用に焦点をあてている。今日のチュバシの宗教の性格に関して、メスザロス・ギュラの以下のような言説に賛意を示すことができよう。「民衆の大半はムスリムであるが、最近の好ましからぬ政治的状況のためムスリム世界との連携は切断され、民衆の精神においては、いまだ忘れられていないシャーマニズムと接合している回教は十分に根を下ろしてはいない。これら二つの要素から今日のチュバシの信仰が形成されているため、ロシア正教の影響はただ部分的にしか感じることができない。」100年まえに書かれたものであるが、この考えは基本的に現在でも通用する。一方あらゆる神と精神は生存権を持つという根拠によって、多神教的概念は衝突を回避している。一神教的概念の偏狭さは、「もしわれわれの神に奉仕するのでなければ、悪魔に奉仕することを意味する」という定式によって表される。他宗者や科学者たちが破門を余儀なくされたり、火あぶりに処せられたりした中世の異端審問を明確な例証として挙げることができる。自らの古代的信仰にとどまっているチュバシも、正教の保護下に入ったチュバシも、キリスト教をロシア人の宗教として受け取っている。回教の見方においても同じことが言えよう。
- 2010-03-31
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