異常性の異常に関する規則性 : チョウの斑紋の同列転換にかかわる一つの考察
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概要
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中央に白点をもった黒い円形の眼状紋や,周囲に,とくに翅脈に沿った,黒のふちどりをもった明色斑の小部分が,同列転換によって残りの部分から切り離されて,他の翅の,ちがった紋様形成野に移されると,眼状紋の断片はそれ自身で中央白点を析出して円形の眼状紋となり,明色斑の断片はそれ自身で周囲に黒いふちどりを新生させる.また前後翅の対応する(相同な)紋様要素(たとえば第3周辺線:SCHWANWITSCHのE^3)は,同列転換によって同じ室にもたらされても空間的に必ずしも重なりあわない.これらの事実を説明するのには,直接の物理法則にもとづくのでなく,すでに個体発生の早期に定められた紋様要素の相互作用によって,紋様の形成がおこなわれるとする構造主義的な考えかたが有効であろう.
- 1988-09-30