アエドンミイロタテハAgrias aedon Hewitson,1848のコスタリカ産新亜種
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概要
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Agrias aedonは南米北西部(コロンビア・ベネズエラ)から中米メキシコ南部まで分布する.原名亜種を含め2亜種に分類され,南米北西部に原名亜種,コスタリカからメキシコ南部にかけて亜種rodriguezi(模式産地は中米グアテマラ)が分布する.前者は大型(♂前翅長41.8mm),前翅赤紋はアーチ型に発達し,外縁に達する.前後翅ともに青紋の発達は良くない.後者はやや小型で(♂前翅長40.1mm),前翅赤紋は縮小しアーチ型とならず,発達した青紋によってその周囲を囲まれる.後翅の青紋は外縁部まで大きく発達する.南米北西部からは,コロンビアを中心にschultei,salvini,petitoensis,denheziといったいくつかの型が記載され,それらの中にはときに亜種として扱われるものもあるが,コスタリカ以北の個体群の斑紋は安定しているようで,rodrigueziの元に記載された型やrodrigueziに近縁として記載された亜種はなかった.筆者らは亜種rodorigueziの分布圏に近接するコスタリカ北西部より本種を得たが,その斑紋はrodrigueziとも原名亜種とも異なるので,新亜種Agrias aedon toyodaiとして記載した.本新亜種は亜種rodrigueziとほぼ同大.裏面も酷似しているが,前翅赤紋は原名亜種グループと同様にアーチ型に発達し,これに伴ってrodrigueziに見られる青紋は後角部に向けて幅狭くなる.後翅はrodriguezi同様に発達した青紋を有する.コスタリカにおいて本種は中央山脈のカリブ海側標高約600-1,200mに極めて局地的に亜種rodrigueziが産することが知られている.本新亜種の産地はそれらの既知産地とは異なり,太平洋側標高約300m地点である.なお,亜種名toyodaiは日本におけるコスタリカ名誉領事を勤められ,日本とコスタリカの友好関係に大きな貢献をされた豊田章一郎氏に献名されたものである.
- 日本鱗翅学会の論文
- 2004-09-30
日本鱗翅学会 | 論文
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