前翅外縁灰色帯の内側に広い黒色帯を伴う雄ベアティフィカアグリアス(鱗翅目,タテハチョウ科)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ベアティフィカアグリアス(Agrias beatifica beatifica)の前翅外縁には灰色帯があり,その内側は緑色帯と接している.両者の間に黒色線を認めることがあり,第5-7室での発現は稀ではない.この黒色線が下縁まで連続する個体がありA.b.pherenice,var.nigrofasciataと命名されている.これらの黒色線は翅脈との交差部分で拡がるが,灰色帯より幅広くなることはなく,各室中央部分では極めて幅狭い.蝶と蛾51第2号109頁に著者が掲載した2頭の雄にもこの黒色線がたまたま現れている.またこの黒色線が翅脈と交差する部分で鏃状に拡がる個体がありA.b.pherenice,var.aureaと命名されている.ペルー産1頭の雄に灰色帯より幅広い黒色帯を認めたので報告する.写真1は1991年11月23日にイキトス近郊のイタヤ河流域で採集された雄の表面で,前翅外縁灰色帯の内側には幅広い黒色帯が認められる.基部から黒色帯までは青色だが,黒色帯近くでは明るい水色に変化している.黒色帯の幅は灰色帯よりも広い.後翅でも灰色帯の内側に黒色線が認められるが,前翅の黒色帯と比べ極めて幅が狭い.他方明るい水色部分は前翅に比し後翅では幅が広い.写真2はその裏面で,後翅基部の黄色斑は大きく外側第3列黒色斑の内側まで拡がっている.内室には2個の小さな黒色斑点が認められ,この個体がA.b.beatificaであることを示している.著者の所有する500頭近くの他のベアティフィカアグリアスでかかる幅広い黒色帯を有する個体はなく,入手できる情報にも該当するものがない.報告した雄は稀な変異体でありvar.nigrocingulataと命名した.
- 日本鱗翅学会の論文
- 2002-03-30
日本鱗翅学会 | 論文
- オオルリシジミの発生に及ぼす放牧圧の影響
- 日本鱗翅学会60年史(上) : 1945(昭和20年)〜1966(昭和41年)
- 緒方さんの思い出(緒方正美先生追悼特集)
- 私と鱗翅学会50年(日本鱗翅学会50周年特集(1))
- 「やどりが」誕生のころ(世界に躍進する日本鱗翅学会)