後翅裏面第3室眼状紋内に2個の白斑を伴う2頭の雄ベアティフィカアグリアス(鱗翅目,タテハチョウ科)
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概要
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ベアティフィカアグリアスの後翅裏面には黒色斑が列をなし,外縁から第2列目の黒色斑は円形で内部に白色の斑点をともない,眼とひとみに例えられている.第2室から7室までの眼状紋には1個,1b室の眼状紋には2個の白色斑点が通常認められる.ペルー産2頭の雄の後翅第3室眼状紋に2個の白色斑点を認めたので報告する.写真1,2は1993年6月10日にロレト州チャンビラ河流域で採集された雄の裏面で,後翅黄色斑は第3列黒色斑の内側まで拡がり,中室には2個の黒色斑点が認められ,典型的なベアティフィカアグリアスである.第3室の眼状紋内には2個の白色斑点が明瞭に認められる.第2室の白色斑点は中央でくびれているが拡大しても分離せず連続している.写真3は表面で,前後翅とも外縁の緑色帯は広く,灰色帯との間には連続した黒色線が認められる.前翅基部の青色斑は大きくなく,広い黒色帯で緑色帯とへだてられている.後翅中室は黒色で青色斑は認めない.写真4,5は1997年10月15日にロレト州ナウタ市近くのベサイダで採集された雄の裏面で,前者同様典型的なベアティフィカアグリアスである.第3室の眼状紋内の白色斑点は中央で強くくびれている.拡大してみると2個の白色斑点は充分離れており,その間には黒色鱗粉に混ざって白色鱗粉が2個認められる.写真6はその表面で,前者より緑色帯が広く,前翅第5,6,7室の大部分をおおっている.その内側には青色層が認められるが,前翅基部の青色斑とは広い黒色帯でへだてられている.後翅中室は黒色で青色斑は認めない.ベアティフィカアグリアスの眼状紋内白色斑点は,その大きさは個体間でかなり異なり,時に青色に変化したりするが,個数の変異は報告がない.著者が所有する191頭の他のベアティフィカアグリアス,107頭のストゥアルティアグリアス,および184頭のベアータアグリアスには白色斑点の数に異常を認めなかった.報告した2頭は稀な変異体であり,var.bipupulaと命名した.
- 日本鱗翅学会の論文
- 2000-03-31
日本鱗翅学会 | 論文
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