前翅三裂黄色斑を持つフルニエアグリアスの新変異体(鱗翅目,タテハチョウ科)
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概要
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1999年1月にブラジルのノヴァオリンダドノルテで採集された雄フルニエアグリアスの前翅黄色斑は,青色線によって中室,1b室及び2室に三分され,今までに報告されたことがない特異な変異体であるので,Agrias phalcidon fournierae var.trifidus nov.と名付け報告する.フルニエアグリアスの前翅黄色斑は前縁から下縁まで拡がり,1a,1b,2室と3室の一部に及んでいる.他方,ビオラ型フルニエアグリアスの黄色斑は前縁から中室までにとどまっている.近年,両者の中間型といえる黄色斑が中室からはみ出した個体が採集されるようになり,黒色線が黄色斑内へ侵入している変異体signataが知られている.本記載の個体では,黄色斑は前縁から1b室と2室まで拡がり,その外縁は赤紫色になっている.拡大写真では1a室基部にも多くの赤紫色鱗粉が認められる.典型的なフルニエよりは狭い黄色斑ではあるが,フルニエの範疇に入ると思われる.拡大写真では中室下縁の中央翅脈上には黄色鱗粉が認められる.翅脈をはさんで上下には青色鱗粉が線状に並び基部まで続いている.青線は上より下のほうが太い.11室,中室,1b室の基部は各々青色鱗粉で充たされている.第2翅脈上には赤紫色鱗粉が青色鱗粉に混ざって認められる.中央翅脈上下の青色鱗粉が肉眼的には一本の太い青色線として写り,黄色斑を大きく上下に裂いていると考えられる.
- 日本鱗翅学会の論文
- 2000-01-01
日本鱗翅学会 | 論文
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