Ostrinia orientalis(オナモミノメイガ:新称)の新寄主植物および性比異常系統の発見
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概要
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アワノメイガ属Ostriniaには,外見が類似し系統的に近縁な種からなる種群が含まれおり,さらにいくつかの著名な農業害虫が存在することから,応用昆虫学・生物体系学の双方の分野において注目されてきた.このため近年では,本属を材料に,性フェロモン成分の同定,分子系統解析,形態測定分析,分布域・寄主植物に関する調査等による総合的な比較研究が進められつつある.本属の一種Ostrinia orientalisの幼虫は,従来はキク科のオナモミとハンゴンソウのみを寄主とする狭食性であると考えられてきた.しかし筆者は最近,佐渡島および本州の数地域において,タデ科のオオイタドリ,イタドリおよびエゾノギシギシから得た幼虫・蛹から本種を確認することができたため,ここに採集地点および採集日を報告した.さらに,佐渡島産O.orientalisの交配・飼育によりいくつかの子孫世代を得たところ,子孫がすべてメスとなる系統が見いだされた.性比がメスに偏る現象はこれまで多くの節足動物において報告されており,同属のアワノメイガO.furnacalisにおいてもすでに発見されている.アワノメイガを含むほとんどの例では,この現象は母系遺伝し,さらに何らかの細胞質因子(たとえば寄生性バクテリア)によって引き起こされていることが知られている.細胞質因子によって性比異常現象の生じるメカニズムはいくつかの様式に分けられるが,アワノメイガの場合では,遺伝的オスのメス化(feminization)によるとされている.O.orientalisにおいて観察された性比異常がいかなる遺伝様式・生起メカニズムを示すのか,今後のより進んだ調査が必要とされる.O.orientalisを含むアワノメイガ種群の和名は服部・六浦(1987)および竹内(1987)によって整理されたが,いくつかの種について両者は異なる和名を提唱しており,現在では服部・六浦(1987)の和名が広く用いられている.服部・六浦(1987)は採集例が少ないという理由からO.orientalisに和名を与えておらず,竹内(1987)はO.orientalisに対しニセアワノメイガの和名を与えているが,常用されていない.そこで筆者は,服部・六浦(1987)に従いO.orientalisは和名未定であるとみなし,本種の主要寄主植物名を冠したオナモミノメイガの新称を本稿にて与えた.和名の決定に際しては,京都府立大学の吉安裕博士の助言を受けた.この場を借りてお礼申し上げる.
- 2000-01-01
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