スギゴケヒメハマキ(新称)の日本からの記録
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概要
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最近,第2著者の小木が北海道で採集した見慣れないヒメハマキガを検討したところ,スギゴケヒメハマキ(新称),Phiaris dissolutana(Stange)であることが判明した.本種はスカンジナビア,中央・東ヨーロッパ,ロシア(シベリアを含む),韓国に分布し,日本(北海道)からは新記録である.本種は前翅開張が16-17mmと中ぐらいの大きさの蛾で,前翅の地色が黒褐色,数本の白っぽい線からなる中帯と前縁の翅頂1/3のところから肛角に走る数本の白っぽい線が特徴的である.雄交尾器ではsociusが半円形であること,valvaが突起を持たない三日月状であることから近縁種と区別できる.本種はヨーロッパでは古くから蘚類のスギゴケ類(Polytricum)を食することが知られていた.ハマキガ科の中で蘚類を食する種は珍しく,イギリスではハマキガ亜科2種,ヒメハマキガ亜科3種が知られているのみである.このハマキガ亜科の2種は広食性であり,蘚類に特化したものではない.これらイギリス産の種の内,ギンムジハマキ,Eana argentata(Clerck)とコケキオビヒメハマキ,Celypha aurofasciana(Haworth)は日本にも分布しているが,我々が知る限りでは日本において今まで蘚類から飼育された記録はなく,他のハマキガ類も蘚類を食したという報告はない.
- 日本鱗翅学会の論文
- 1999-09-30
日本鱗翅学会 | 論文
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