Hendecaneura axiotima(Meyrick)とヒマラヤ産の近縁な1新種(鱗翅目,ハマキガ科)
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概要
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ロンドンの自然史博物館に所蔵されているヒマラヤ産のHendecaneura axiotima(Meyrick)とされている標本を調査したところ,axiotimaとそれに近縁な1新種を認めた.本論文において,この新種を記載するとともに,両種の成虫・雌雄交尾器を図示し,さらに両種の区別点をまとめた.Hendecaneura himalayana Nasu,n.sp.開張:雄25-26mm,雌28mm.前翅の地色は黒褐色.前翅の内縁は幅広い波状のクリーム白色線を持ち,この線は前縁の翅頂にある三角形のクリーム白色紋とはつながらない.分布:ネパール,インド(シッキム).本種はaxiotimaと近縁であり,外部標徴も類似するが,1)雄の前額に隆起した鱗片を持だないこと,2)前知の内縁は幅広い法状線を持ち,この線は翅頂の三角紋とはつながらないこと,3)雄交尾器のtegumenは背側方に1対の小さな隆起状のlobesを持つこと,4)雌交尾器の第8節背板の前縁がくぼんでいること,5)apophysis anteriorisの基部は少ししか広からないこと,6)corpus bursaeが小さく,卵形であること,7)signaの大きさが異なることから区別できる.Hendecaneura axiotima(Meyrick)分布:中国(雲南省),台湾,ネパール,インド(シッキム)(後者の2地域からは新記録).Kuznetzov(1973)は中国(雲南省)産の2固体に基づいて,本種の雌雄交尾器を図示したが,それらの図のうち,雌交尾器の図はhimalayana n.sp.のものと酷似している.彼が検討した雌標本はhimalayana n.sp.である可能性が高い.
- 日本鱗翅学会の論文
- 1996-12-01
日本鱗翅学会 | 論文
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