鱗翅類幼虫の頭蓋板上の刺毛式に対する新しい考え方
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概要
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鱗翅類幼虫の頭部の刺毛式はこれまで多くの研究者によって調べられてきたが,Dampf(1910)の研究以後胸・腹部の刺毛式とは全く別の方式の許に取り扱われている.またこれら研究者は何れも頭蓋全体の刺毛を対象としている.しかしこれを頭蓋板に限定して考えると,そこに生じている刺毛は自己感応的微刺毛を含め16本(コウモリガ科など原始的なものでは17本)と胸・腹部の刺毛と全く同数である.その上各刺毛群もDampfの考え方(第2図,B)によらず,胸・腹部にある6個の体域に相当する部分が頭部にまで延長したと想定すれば第2図,Cの如くになるので,その間に分布する刺毛は完全に胸・腹部の刺毛式と同一に取り扱えることが判明した.これまで何故この様な見方がなされなかったのか不思議でさえある.両者の刺毛の比較を第1表に掲げた.結果的にみると,この刺毛式はDyar(1896)の考え方に近いものとなる.ただし何故頭蓋板上の刺毛のみが胸・腹部の刺毛と相同するのか,また前頭+上唇片に生ずる刺毛の数が胸・腹部のそれ(微刺毛を除く)と一致するのかといった点については直ちに適切な判断を行うことは困難である.
- 日本鱗翅学会の論文
- 1995-03-30
日本鱗翅学会 | 論文
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