取引業者の最適所要量管理とサプライチェーンの全体最適に関する一考察
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概要
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サプライチェーンに関わるさまざまな非効率は,サプライチェーンの物理的な制約,すなわち,需要の不確実性,調達リードタイムの長さ,計画サイクルの長さといった制約の中で,取引業者がそれぞれに自己の利益を最大化しようとして決定した所要量(保有在庫+調達量)政策を実行することでもたらされると考えられる.本稿では,そのような問題意識に基づき,取引業者が自己の利益を最大化する最適所要量を決定するときの意思決定プロセスをモデル化し,それが小売業者,販社,メーカーといったサプライチェーンを構成する取引業者の業態によって異なる構造を持つことを示す.さらに,最適所要量の相違が業者間取引の需給バランスに与える影響を分析し,サプライチェーンの非効率を生じさせる要因を摘出する.サプライチェーンの非効率を生じさせる阻害要因は,(1)小売需要の加法性,(2)市場成長期の需要の水増効果,(3)市場立上げ期の需要抑制効果であり,さらに,(4)トレード・プロモーションの不適切な運用は,これら阻害要因を助長する可能性があることを指摘した.さらに,サプライチェーンの効率を高める成功要因を探索し,(1)地域内小売店在庫の一元管理,(2)小売店の選択と集中,(3)最終需要・在庫情報の共有,(4)VMI方式の導入,(5)市場導入直後のトレード・プロモーション強化,(6)市場成熟期のトレード・プロモーションの制限の6つを摘出した.
- 日本管理会計学会の論文
- 1999-03-31
著者
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