店頭公開が企業の収益性に及ぼす影響の分析
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概要
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新規公開時に企業は,公募増資で資本市場から設備資金など必要な資金を調達し,業容拡大等企業の成長のための資金を使っているはずである.また企業が店頭公開し知名度や社会的信用が向上すれば,資金調達手段や顧客層が多様化し,優秀な人材も採用しやすくなる.このため,店頭公開によって企業は,豊富な資金や優秀な人材を獲得し,店頭公開前よりも収益性を向上させ更に企業を成長させていくことができるはずである.しかし,高成長を遂げた企業が店頭公開すると推測できようが,公開後にも高度な成長を続け,高収益性を維持するとは限らない.店頭公開すること自体が企業の収益性にどのような影響をもたらすかは,店頭公開を目指す企業および店頭公開した企業の将来の業績を予測する上で極めて重要なことである.そこで本研究では,わが国企業の店頭公開前後の収益性を,各種財務データを用いて分析し,店頭公開と企業の業績との関係を示す.そのため,1986年から1991年の間に店頭公開した321社について店頭公開前後の各5年間の財務データを調べ,店頭公開後の企業の収益性が公開前とどのように変化するかを比較する.その結果を分析し,店頭公開し資本市場から資金調達した後,企業の収益性はむしろ低下する傾向にあることを示す.また,この収益性の低下の理由は,主に有形固定資産への投資が増大し,多大な減価償却費にあること,この店頭公開後の収益性の低下傾向は,製造業の方が非製造業よりも著しいこと,しかしながら,キャッシュフローは,非製造業の方の低下の方が著しいことを財務比率の変化等によって説明する.
- 日本管理会計学会の論文
- 1998-03-31
著者
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