補助部門で相互に用役授受が無い場合の変動製造間接費差異分析について
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概要
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変動製造間接費の原価差異分析をおこなう場合,従来の方法では,総差異を単に能率差異,予算差異に区分するにとどまっている.これは,製造部門活動量に対して変動原価が線形的に変化することを仮定し,かつ暗黙的に補助部門活動量と製造部門活動量もまた線形的に変化することを仮定しているためである.しかし,これらの仮定が満たされ無い場合,例えば,補助部門の不能率によって補助部門に投入された原価要素が無駄に消費されるとその浪費額が予算差異に含まれ,従来の方法は誤った原価情報を与えることになる.そこで,本論文では補助部門相互間に用役の授受が無い場合について,製造部門から補助部門にいたる複数の活動量を考慮した,変動製造間接費差異分析の方法を提案するものである.本論文では,以下の3モデルについて差異分析法を提案する.モデル1製造部門に投入された変動製造間接費要素と製造部門活動量および製品生産量との関係で差異分析を試みるモデル.モデル2 1補助部門と1製造部門が存在する場合について,補助部門に投入された変動製造間接費要素と補助部門活動量,製造部門活動量および製品生産量との関係で差異分析を試みるモデル.モデル3 1からmまでのm補助部門と1からnまでのn製造部門が存在する場合について,補助部門に投入された変動製造間接費要素と補助部門活動量,補助部門から製造部門へ提供される用役の提供比率,製造部門活動量および製品生産量との関係で差異分析を試みるモデル.これらのモデルによって示された変動製造間接費差異分析法によって,原価管理に有用な情報が得られることを示した.
- 1996-03-10