全部原価計算の下での損益分岐分析への租税関数と目標達成領域分析の導入
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概要
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損益分岐分析はこれまで様々な拡張がなされてきており,全部原価計算の下での損益分岐分析もその一拡張形態である.これは製造固定費を製品原価とすることによって,「期首在庫高と期末在庫高は等しい」という仮定が満たされなかった場合に損益分岐分析で計算される利益と損益計算書の利益とが乖離するという問題に対して一つの解答を示している.ところが,この手法は販売費及び一般管理費に属する事業税や法人税等に属する法人税,道府県民税の法人税割および市町村民税の法人税割といった企業の所得に対して変動する租税を考慮しておらず,したがって利益の乖離はいまだ存在している.利益計画の際に,あるいは経営分析を行う際にも,当期純利益や租税に関する情報を経営者に提供することは極めて重要である.そこで本研究は,わが国の現行制度のもとで発生基準にしたがい上記租税を計上し,製造固定費を実際配賦率あるいは期待実際操業度を用いた予定配賦率によって配賦する場合について,全部原価計算に基づく損益分岐分析に原価ビヘイヴィアとしての租税関数を導入することによりこの分析をより有用性の高い技法へと拡張する.さらにそれを基礎として,売上高-生産高平面に目標利益や売上高利益率等の様々な目標の達成領域と販売制約や製造制約によって示される実行可能領域を図示し,任意の売上高・生産高が与えられたとき,それがどの目標や制約を満たしているのか,あるいは目標間の相互関連性はどうなっているのかといった利益計画に有用な情報を視覚的に提供する方法を提案する.
- 日本管理会計学会の論文
- 1995-03-29
著者
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