各期の稼得収益が均等でない戦略的投資計画の感度分析 : グラフによる分析を中心に
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概要
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設備投資計画の経済性分析の方法論として,キャッシュフロー基準の経済性指標を,条件に応じて使い分けるやり方が広く用いられているが,現実には,投資の結果として生じる稼得収益には不確実性がつきまとうために,十分な感度分析を行い,その分析結果を分かりやすくグラフで表現する方法が奨励されている.しかし,従来開発され実用化されている分析法は,毎期のキャッシュフローが均等な場合や,年々一定の上昇率ないし逓減率を仮定できる場合を前提としているので,たとえば新製品の商品化計画とか,新規事業への参入計画といった戦略的な投資計画には適用が困難である.というのは,戦略的投資計画では導入期・成長期から成熟期に達し,やがて安定期ないし衰退期に入るというように,不均等な稼得収益を前提とせざるをえないからである.本稿は,そのような不均等な稼得収益をもつ設備投資計画に焦点を当て,これを効果的にサポートする感度分析とその図式表現について研究したものである.第1節では,本稿で対象とする感度分析のねらいを整理したのち,予備的考察として,販売量が年々均等な場合の代表的な感度分析グラフの例を示す.そして,販売量や売上高の流列が不均等な場合の問題点を指摘する.第2節では,販売量(または需要量や売上収益)の年価という代用変数の導入を提案し,分析のベースとして「流列のパターン」および「リスクのタイプ」というコンセプトを用いた定量化の方法を述べる.第3節では,こうして求められる販売量の年価と投資案の正味年価との関係に注意を向ける.そして運転資本投資や設備の処分損と税金を考える場合も,ほぼ線形の関係を想定することができるが,経験曲線を考慮する場合は帯状の幅を持った関係として捉えざるを得ないことを論じる.第4節では,モデル企業による具体的な数値例を用いて,優劣分岐線グラフの活用例などを示す.
- 日本管理会計学会の論文
- 1993-07-25
著者
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