「発達の最近接領域」の評価に関する実践的研究 : 算数授業におけるダイナミック・アセスメントの試み
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概要
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本研究では,ヴィゴツキーの「発達の最近接領域」の概念にもとづいた評価であるダイナミック・アセスメントを授業のなかで実施し,教室のなかで指導しながら子どもの「発達の最近接領域」を明らかにすることが可能かを考察した。ヴィゴツキーは発達状態の評価の際に「発達の最近接領域」を考慮する必要性を主張していたが,具体的な評価手順を開発していなかった。ダイナミック・アセスメント研究により,その開発が進められている。ダイナミック・アセスメントに固有な一つの手順は存在しないが,(1)評価者と学習者の相互作用,(2)メタ認知的な過程への着目,(3)学習者の可変性や介入に対する応答性に関する情報の提示,が特徴として挙げられる。本研究では,算数授業においてダイナミック・アセスメントを試みた。児童が当該単元の核となる考え方を理解できているのかを明らかにする問題を作成し解答させ,学級全体でダイナミック・アセスメントを行った。その結果,単元の本質を理解できず個別のダイナミック・アセスメントを必要とする児童がいることがわかり,個別でも実施した。本稿では各単元1人の児童を分析し,思考過程と「発達の最近接領域」を明らかにし,教師の介入をダイナミック・アセスメントの見地から分析した。これにより,ダイナミック・アセスメントによって,「発達の最近接領域」は,特定の,教師,指導,子ども集団に応じて顕わになる可能性を実証した。
- 2008-03-31
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