先史奄美のヤコウガイ消費 : ヤコウガイ大量出土遺跡の理解にむけて
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概要
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縄文時代中期から古代における奄美大島のヤコウガイ消費の変遷を、出土したヤコウガイの計測にもとづいて復元し、変遷に三つの画期を見いだして以下を述べた。・奄美大島北部において、先史時代人は殻径17.1〜19.0cmの大型ヤコウガイを捕獲対象にしていた。・兼久式期の前半(6〜7世紀)に、あらゆる大きさのヤコウガイの大量捕獲と殻の集積が始まる(第一の画期)。その背景に島外における貝殻消費が想定されるものの、遺跡にのこされた大量の貝殻はその供給の効率の悪さを示唆する。・兼久式期の後半(8世紀頃)にヤコウガイの大きさは全体に著しく小型化し、ヤコウガイ資源の萎縮した状況が認められる(第二の画期)・兼久式期の終末期(9〜10世紀)にはヤコウガイ資源が回復する。当期は大和で南島のヤコウガイ消費が始まる時期であり、産地としてこれに対応していた可能性が高い(第三の画期)・奄美大島の11世紀・13世紀の文化層にはヤコウガイがほとんど検出されていない。この時期は大和におけるヤコウガイ大量消費の最盛期である。古代・中世のヤコウガイ交易の実態を、生産地においてさらに検討する必要がある。
- 2010-03-10
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