胃癌リンパ節転移初期像の検討 : 見張りリンパ節を指標とした胃癌手術は有効か

概要

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胃癌外科治療におけるリンパ節廓清術は,術後QOLを考慮して,拡大廓清から縮小廓清の方向へ転化している.さらに近年では症例個々の癌病巣からのリンパ流を確認し,流れの最上流に位置するリンパ節をsentinel nodeとし,このリンパ節を術中病理検索して転移のない場合は,転移なしと考え縮小手術を行うsentinel node navigation surgeryが広く行われ始めている.しかし,本法はほとんどの症例で癌局在部位からのリンパ流が単一流でないと多数のリンパ節を術中に検索する必要性があり,また転移リンパ節を見落とす可能性がある.そこで今回我々は,胃癌においてリンパ節転移の初期症例として少数個リンパ節転移例を対象に,そのリンパ流が単一かを検討した. [対象]標準的2群リンパ節までの廓清が行われ治癒切除となった深達度ssまでの胃癌症例で,転移リンパ節個数が2個から4個までの145症例を対象とした. [結果]全症例の30〜40%に複数のリンパ流によるリンパ節転移が存在し,早期癌においても30%, mp癌では38%, ss癌では41%に複数リンパ流による転移が存在した. [考察]胃癌はリンパの流れが多方向にあるため,すべてのsentinel nodeを同定することは困難と考えられた.
東京女子医科大学の論文