遠隔地在住妊婦の分娩に対する不安とその要因に関する研究
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概要
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本研究は,周産期施設の集約化に伴い,受診に90分以上(移動距離100km以上)を要する遠隔地在住妊婦の分娩に対する不安と現状の問題点の明確化を目的とした。妊娠28週以降の妊婦365人の対象を3群(遠隔地,近郊地,市内)に分け,不安尺度としてSTAIを用い無記名自記式質問紙によって不安とその要因について検討した。なお,知り得た情報は個人を特定せずに統計処理し,研究協力の中断があっても診療ケアに不利益を被ることは一切ないことを旨とした倫理的配慮をした。その結果,遠隔地在住妊婦の状態不安(39.1±8.10),特性不安(39.7±8.57)は他地域よりも低く,とくに経産婦が低かった。さらに遠隔地の経産婦の不安要因は〔分娩〕〔新生児〕〔母体の影響〕が低く(P<0.05),分娩に対するポジティブ・イメージが強く先行し(P<0.01),異常分娩と緊急性に対する認識は有意差が認められなかった。したがって,遠隔地在住妊婦の分娩に対する不安が3群のなかで最も低かったため,精神的支援のみならず地域性に配慮した異常分娩や緊急性に関する正しい知識を授けることが必要であると考えられた。
著者
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