ドイツ語Web-CALLシステムの出題形式の検討 : 選択記述式と記述式の比較
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概要
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はじめに 近年,コンピューターとネットワークを利用した学習方法が盛んに実践され,大学においても授業に取り入れられつつあり,「eラーニング」として広く知られている。eラーニングが広く用いられるようになって来た理由として,「大学経営の視点」と「教育の質と提供手段の視点」の二つが指摘されている(経済産業省2005)。筆者らも「教育の質」を向上させる目的で,山形大学の教養教育のドイツ語の授業にWeb-CALLシステムを取り入れることを考え,システムを開発し実践してきた(渡辺・西平2004b)。学生の理解度を把握するため,いわゆる「小テスト」を授業中に実施することがあるが,これは回収作業や採点に時間がかかるため即座に学生の理解度を把握することはできないし,理解されていない点を授業で取り上げるのは次回の授業になることがほとんどであろう。しかし,時間が空くと学生たちの中には忘れてしまう者もいるため,この方法は改善の余地があると思われる。そこで,その「小テスト」をWeb上で準備し,学生はパソコンから答え,教員は解答結果を手元のパソコンで見られるシステムを開発することで,即座に学生の理解が不十分な点を把握し,その場でそれについて重点的に解説を加えることができ効果があることを示してきた。また,ドイツ語という一見するとパソコンには無関係な授業の中でパソコンを用いることで,学生の興味を引きつけることができることもわかった。ところで,前述のシステムを開発する上で新たな課題となったのが出題形式の違いにより難易度に差異が生じるかということである。ドイツ語を履修する学生はすべてがパソコンの操作を得意とする者ばかりではないため,それらの学生の利便性を考慮して,プルダウン形式の選択式で解答させることを考えた。しかし,筆者らの前回の実験では,選択式と記述式では難易度に差があることが示唆されている(渡辺・西平2005)。選択式の場合には,正答がかならずそこに含められているものの,間違った答えに影響されて誤答してしまうことがある。また,前回の実験時に同時に行ったアンケートは,記述式の方が慣れているという意見もあった。そこで,本論文では選択式を選択記述式(解答群を設けその中から選択して空欄に記述してもらう形式)とし,記述式との間の難易度の差を見ることとした。前回の選択式の場合と同様に誤答に影響されることはあるが,解答する際には実際に記述することになるので,安易に選んで間違えるという可能性は減少することが期待できる。これによって,選択式と記述式の出題形式の違いが難易度の違いに直結するのか,また教育効果の差を調べることを目的とする。
- 山形大学の論文
- 2007-03-30
著者
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