植民地的近代と詩社的伝統意識の乖離 : 梁啓超の台湾訪問をめぐって
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概要
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1911年春,梁啓超は日本の近代化政策の成功を視察するため台湾を訪れた。しかし,植民地において深刻化した近代化の矛盾-「技術-物質的生活」の進化と統治側の「制度と政術」の圧力-によって,梁は思わぬ幻滅を体験した。とはいえ,これは梁にとって,言語や詩が民族的アイデンティティを持つことを自覚させられた旅でもあった。彼は台湾文人との詩作を通して民族主義を初めて体験した。梁にとっての詩は本来,漢民族主義にではなく,「大中華民族」主義に寄与する媒体だったが,この台湾体験とその直後の辛亥革命により,すでに詩界革命の最終段階で予感されたように中国文化の代表的ジャンルとして位置づけられるようになった。
- 2009-12-25