速度・加速度そして力 : 真上投げ運動の場合
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概要
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鉛直上方に投げられた物体で,速度と加速度の区別あるいは速度と力の関連という点の理解は,意外と難しいようである.それは,上昇中の速度の向きと加速度(力)の向きが逆であることや運動の途中で速度の向きが逆転することに原因があり,そこから指導の必要性が生じる.ここでは,過去3回のテスト結果を分析し,生徒の声にも耳を傾けて,提起されている指導上の課題を議論している.第1に,速度と加速度の区別がどのくらい理解されているかを知る上で「真上投げ運動」は面白い教材と言えること.第2に,その速度と力との関連の方は慣性や運動方程式の学習を通してこそ充分な理解に到達できるはずなので,その時やはり速度・加速度の区別についても触れること.第3に,なめらかな水平面上での運動や放物運動との学習順序に一考を要すること.第4に,最高点での加速度が0でなく9.8m/s^2であることを理解させるための努力が必要であること.第5に,上昇中の物体に対する「残留力」理論の克服のために.「力は接触してこそ受ける」という原則をしっかり身につけさせることが大切であること.明らかになった課題は以上の5点である.
- 日本物理教育学会の論文
- 1987-06-05
著者
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