振り子の質量が異なる場合の連成振子のエネルギー伝達
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概要
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水平に張った糸に2つの同じ単振り子を結びつけ,一方を振らせると,振動は他方に伝わり2つの振り子は交互に振動をくり返す.振り子の長さは等しいが,おもりの質量が異なる場合にも,このような共振は起きるだろうか.横糸と振り子の結び目が水平に揺れると仮定し,一方の振り子P_1を小さい振幅で振らせ始める時,P_1は2つの振動モードの和の振動を示い,他方の振り子P_2はうなりのような振動を行うことが理論から導かれる.このことは実際の観察で確認できた.振り子P_1を微小振幅で振らせる時,振り子P_2がそのエネルギーを吸収して,静止状態から最大振幅を経て,再び静止状態に戻る時間は,振り子の質量の比と,振り子の間隔に依存することが理論から導かれ,実験で確認できた.P_2の最大振幅も,振り子の質量の比と振り子の間隔に依存することが理論から予想され,大よその傾向は実験と一致した.P_2の質量がP_1のそれより小さい時は,理論から予想される量より小さかった.これは,P_2が軽いと種々の抵抗によるエネルギーの散逸の割合が大きいからであろう.また,初めのP_1の振動エネルギーに対するP_2の最大エネルギーの比についても,理論と実験の概要は一致した.しかし,振幅の場合と同じくP_2が軽い時は,理論から予想される値よりは小さくなった.逆にP_2が重い時は理論より大きくなった.これは,P_2が重くなると振り子の支点が沈みこみP_2の長さが長くなって,2つの振り子の振動数が等しいという仮定が成立しにくくなるからである.結論としては,振り子の長さと質量とが等しい場合のみ,完全なエネルギーの交換が生じることがわかった.
- 日本物理教育学会の論文
- 1986-06-05
著者
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