力学台車の車輪の影響の扱い方
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概要
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高等学校の現行の「物理I」や,近く実施される「理科I」の中の力学分野の主要教材である力学台車の運動について,いくつかの問題点を取り上げて吟味した.「物理I」や「理科I」の段階では,回転エネルギーを学習していないので,車輪の回転エネルギーを実験処理の中に組み入れることができない.ところが,あるメーカーの力学台車の車輪の慣性モーメントを測定してエネルギーの割合を計算してみると,質量が1(kg)で運動しているとき,全運動エネルギーの10.4(%)が車輪の回転エネルギーであることが分った.エネルギーを主題にした生徒実験で,この回転エネルギーを量的に無視することはできない.その解決策として(1)車輪の半径をr,慣性モーメントをI,中心の移動速度をv,角速度をωとすると,1/2Iω^2=1/2(I/r^2)v^2となるから,m=I/r^2だけ力学台車の質量を増加して処理する.すなわち,車輪の回転エネルギーを台車の運動エネルギーの一部として処理する.(2)車輪の回転エネルギーを,運動中に摩擦力のする仕事の中に含めて処理する.の2つの方法を検討してみた.一応の結果を得ることができたので研究報告とする.
- 日本物理教育学会の論文
- 1980-12-05
著者
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