逐次解法理論の基礎
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概要
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普通架構解法の研究は行詰つて居ると云はれてゐる。特殊解法は生れるにしても、根本理論の發展は望めないかの如く筆者等は聞いてゐる。此の行詰りをはつきり認識するか、或は發展の餘地を見出すには、理論の基礎的な事項、即ち理論の立脚點なる假定と式の導き方を再考し、統一又合理化する必要がある。本論は夫に對する私案であり、此の方面研究の將來への發展の捨石の積である。その爲に第1節に於て、普通架構力學に於て取扱はれてゐる基礎式を從來とは異つた立場から導き、變形の太なる場合、材の彈性限界外等へ將來理論が發展する場合の暗示を與へ、第2節に於て、第1節の立場から得た最も一般的な基礎式から、一般逐次解法理論の3種の型を導いた。(此の3種の型の解法理論を導いた事は、從來架構解法の種類がKraftmethodeとDeformationsmethodeの2種のみであるかの樣に誤認されてゐる事に對する抗議をも含んで居る。)第3節以下は第2節理論の解説とも見られるもので、第3節は解柝的逐次解法理論では定點よりも傳達率の方が重要なる事を説き、傳達率は二變數が一定比をなす所に生ずる事を主張し、第2節に述べた理論着想の根據を示したものであり、第4節は、從來の逐次解法に於て不可解乍らその儘使用された循環法は何等逐次解法理論の不成立を示すものではなく、逐次解法を觀る態度の不正が、その疑念を生ぜしめる事を主張したものである。第5節は第2節理論の應用例題に代るべきものであつて、本論に特に一般理論の應用例題を附さなかつたのは、現在既に使用されて居る各種解法理論自身が例題であるからで、第5節がその役目を充分果して呉れると信じたからである。
- 社団法人日本建築学会の論文
- 1934-04-15