痴呆性高齢者の摂食困難の状況とその影響要因 : ビデオ観察による分析
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概要
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摂食困難にある痴呆性高齢者への援助方法を検討するため,本研究では1事例(67歳女性,アルツハイマー型痴呆)の朝食場面を連続7日間ビデオ観察し,摂食状況の定量化および要因分析を行った.食物を口に取り込む「摂食」の平均回数は38.1±5.5回で,完全介助による摂食が80%以上を占めていた.ビデオ観察を行う中で,物音や人の動きという刺激により視線が何度も変わり食事に注意が向かない様子や摂食の直前に咀嚼運動があることが観察されたため,視線変化の回数と摂食前の咀嚼率を定量化し分析した.食事時間と視線変化の回数には正の相関(r=0.821 p=0.023)が,摂食前の咀嚼率には負の相関が認められた(r=-0.857 p=0.014).観察最終日には,食事時間,視線変化および失敗の回数が最も少なく,摂食前の咀嚼率が最も高かった.全介助が必要な本事例の摂食への影響要因として,周辺環境の変化,援助のタイミングおよび対象と援助者の関係性が示唆された.
- 日本老年看護学会の論文
- 2002-11-01
著者
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三重野 英子
大分大学医学部看護学科
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三重野 英子
大分医科大学医学部看護学科
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末弘 理恵
大分大学医学部看護学科
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末弘 理恵
大分医科大学医学部看護学科
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マーナ豊澤 英子
前大分医科大学医学部看護学科
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楠田 俊光
大分医科大学医学部看護学科
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末弘 理惠
大分大学医学部看護学科
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