枯草菌の脂肪酸分解に関与するYsiAレギュロンの構成と機能
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概要
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枯草菌の脂肪酸分解に関わるYsiAレギュロンの構成と機能を研究した。ノザン解析およびプライマー伸長解析により、このレギュロンが5オペロン(lcfA-ysiA-B-etfB-A、ykuF-G、yhfL、yusM-L-K-JおよびywjF-acdA-rpoE)から構成されることを明らかにした。おそらく、YusJとAcdA、YsiBとYusL、YusKは、それぞれアシル-CoAデヒドロゲナーゼ、3-ヒドロキシル-CoAデヒドロゲナーゼ/エノイル-CoAヒドラターゼ複合体、アセチル-CoA C-アシルトランスフェラーゼをコードしており、脂肪酸のβ-酸化経路に直接的に関与している。加えて、LcfAとYhfLはおそらく長鎖アシル-CoAリガーゼをコードしている。精製したYsiA蛋白質を用いたゲル移動度シフト解析およびフットプリント解析の結果、ysiA、ykuF、yusL、yhfLおよびywjFの上流プロモーター領域内へYsiAの結合するcis-配列(YsiA-box)を同定することができた。それぞれのYsiAのDNAへ結合する平衡解離定数(Kd)は、20、21、37、43および65nMであり、YsiA結合能は14から20炭素数の長鎖飽和アシル-CoAにより特異的に抑制され、炭素数18のアシル-CoAがより効果的であった。長鎖飽和アシル-CoA以外の試験では、モノ不飽和オレオイル-CoAおよび分岐鎖12-メチルテトラデカノイル-CoAが最も効果的であった。これらin vitroでの発見は、yusJ、etfAまたはetfB破壊によりアシル-CoA脱水素反応が止められ、細胞内に長鎖アシル-CoAが蓄積されることによりYsiAが不活性化したin vivo情報の結果により裏付けられた。さらに、yusL、yusK、yusJ、etfA、etfBまたはykuGの破壊は、長鎖脂肪酸を代表するパルミチン酸の資化利用に影響を及ぼした。この研究により、ysiA、ysiB、ykuF、ykuG、yhfL、yusM、yusL、yusK、yusJおよびywjFを、fadR、fadB、fadH、fadG、lcfB、fadM、fadN、fadA、fadEおよびfadF(fad:fatty acid degradation)と改名した。