日本語発話文の敬語の誤用を指摘するシステム(人工知能)
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概要
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現代の日本社会において,敬語に関する様々な誤用が指摘されてきている.日本社会における敬語の誤用は,人物間の適切な社会的関係の認識・構築に悪影響を及ぼす場合があるためできるだけ避けることが好ましい.敬語の誤用を避けるには,敬語の規範に関する正しい知識の習得が不可欠である.このような知識習得を効率的に行うため,敬語学習を支援する計算機システムの実現が期待される.以上の背景のもと,我々は日本語発話文に含まれる語形上の誤用,及び運用上の誤用を指摘するシステムを関発した.本システムは,日本語発話文,及び発話にかかわる人物間の社会的関係(上・下,及びウチ・ソトの関係の組合せで表現される)を入力とし,入力された発話文における誤用の有無,及び誤用が含まれる場合には誤用の箇所と種類を出力する.発話にかかわる人数としては2〜4名を取り扱うことができる.誤用を含まない文,及び誤用を含む文を用いた実験によってシステムの妥当性を検証したところ,ごく一部のケースを除き,本システムがおおむね妥当な出力を行うことが確認された.また,日本語の専門家ではない一般の人々が記述した文を用いた実験によって,本システムで用いている規範と,一般の人々が実際に用いている敬語との乖離を調べた.そしてこの結果を踏まえ,敬語教育上重要視すべき規範とそうでない規範について議論した.本システムは,特に敬語の初学者に対する学習支援システムとして有用と考えられるが,その他の人々にとっても,日本語文書の入力におけるケアレスミスをチェックする等の用途として幅広く活用できると考えられる.
- 2007-11-01
著者
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井佐原 均
独立行政法人 情報通信研究機構 けいはんな情報通信融合研究センター
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内元 清貴
独立行政法人 情報通信研究機構
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内元 清貴
通信総合研
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白土 保
独立行政法人情報通信研究機構
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丸元 聡子
財団法人計量計画研究所
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村田 真樹
独立行政法人情報通信研究機構
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河原 大輔
独立行政法人情報通信研究機構
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丸元 聡子
計量計画研究所
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村田 真樹
鳥取大学
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村田 真樹
独立行政法人情報通信研究機構 知識創成コミュニケーション研究センター
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井佐原 均
独立行政法人情報通信研究機構 知識創成コミュニケーション研究センター
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井佐原 均
独立行政法人 情報通信研究機構
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井佐原 均
独立行政法人情報通信研究機構 自然言語グループ
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白土 保
独立行政法人情報通信研究機構 知識創成コミュニケーション研究センター
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井佐原 均
豊橋技術科学大学
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河原 大輔
情報通信研究機構知識創成コミュニケーション研究センター
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