8. 凍結乾燥食品の酸化防止について : 酸化防止剤の使用条件と酸化防止効果の関係(一般演題)
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概要
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凍結乾燥方法により食品を乾燥した場合は多くの点で従来の常圧における乾燥方法による乾燥食品よりすぐれている。しかしその組織は多孔質で酸化表面積が拡大されているため、脂肪および脂溶性の成分は速に酸化し品質低下の大きな原因となる。そこでその酸化防止方法の確立が望まれている。演者は果実蔬菜のカロチノイドの研究を行っていた際に、リコピンの結晶を保存する際に、フェノール系酸化防止剤の結晶を同一容器内に封入した場合に非常にリコピンを安定に保ち得ることを見出した。この現象は当然凍結乾燥食品の貯蔵中の酸化防止に活用し得るだろうという考えから、2、3定性実験を行った結果、予期した効果を示すことが判ったので、さらにその効果の確認のために研究を進めた。実験を進める上には酸化速度の早いカロチノイド結晶が適当と考え、リコピン、カロチンを濾紙片または濾紙粉末に吸着させたものを被酸化試料としてモデル実験を行った。被酸化試料を酸化防止剤を吸着させた濾紙とともに同一試料瓶に封入し一定条件下で貯蔵しその間のカロチノイドの残存率を測定し酸化防止効果の檢討を行った。その結果は従来のごとく直接被酸化物に酸化防止剤を添加(直接添加)した場合より、演者の案出した方法(間接添加)の方が酸化防止効果を高め得ることが判った。それらの結果および現在檢討中の実験結果について報告する。
- 低温生物工学会の論文
- 1963-04-09