2. 大豆タンパク質の低温処理による性状変化(一般演題)
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概要
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大豆タンパク質を0℃以下の低温で処理すると性状に変化を来すことは凍豆腐製造工程中凍結による疎水化あるいは冷蔵による海綿化などの現象としてすでにはっきり認められている。大豆の水抽出タンパクの溶液とこれから酸あるいはカルシウム塩を用いて得た凝固タンパクを低温で処理したときの性状の変化を体系的に調べると共に、これらの変化の本態を明らかにするための試験(塩析曲線あるいは超遠心沈降分析)を行ったので、これらの結果および知見について報告する。水抽出タンパク溶液は予めある温度に加熱すると一旦凍結后解凍した場合タンパク質の不溶性化が起り、その程度はなおタンパク濃度、凍結速度、冷蔵期間の影響を受ける。また大豆タンパク凝固物は凍結、解凍により疎水性となり、水分を60%迄下げ、食塩とこねて加熱すると弾性の強いゲルとなることを認めた。あらかじめ加熱しない水抽出タンパク溶液を凍結後-1〜3℃に令蔵するとタンパク質の不溶性化は起らないが、冷蔵期間が長くなった場合(1ケ月)タンパク質の硫安による沈でん状況が変り、硫安の低い濃度で沈でんするようになる。しかし-20℃の冷蔵ではこのような変化は全く認められない。あらかじめ50℃に加熱しても同様の傾向である。超遠心沈降図は冷蔵による変化は極めて僅かであるが、-1〜3℃に1ケ月冷蔵すると主成分タンパクの沈降速度が僅かに増加するように思われる。以上のことから長期の冷蔵中にタンパク質の会合に似た現象が起るのではないかと推定される。
- 低温生物工学会の論文
- 1963-04-09