食品の凍結乾燥
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概要
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近年の生活の合理化にともない、一般の食生活における食糧構成およびその食品の形態も漸次変化の傾向を示している。とくに近年は簡易に食用に供し得るしかも貯蔵性,輸送性の高い加工食品の生産およびその消費の増加が目立って来ている。そこで当然乾燥食品が再認識されて来た。乾燥食品が十分にその特性を発揮し、一般の食生活に採り入れられ活用されるためには、従来の乾燥方法を再検討または新しい乾燥方法の採用により復元性の高い、貯蔵、輸送性の高い製品を得ることと、その製品を安定な状態に貯蔵するための種々の条件を確立することである。ここで真空乾燥、または凍結乾燥方法を食品の乾燥に利用しようという機運が高まつて来ている。この機運は欧米においては第2次大戦後に急激に高まり、1950年代に入りその研究成果が食品関係の雑誌に多く発表されるようになり、同時にその中間工業試験およびその試作品の実用化試験が進み、その製品が高く評価された。この2,3年は1,2の食品製造業者が市販品を対照に製造を開始し、昨年後半から今年にかけて、多くの大企業が量産の体勢に入つて来ている。わが国においてもこの2,3年の間に非常に関心が高まり今年中には小規模ながら各種の食品製造業が市販品を対照に製造を開始する段階に達した。筆者は食品の乾燥に凍結乾燥方法を利用する意義,乾燥に際しての諸条件,乾燥製品の品質,乾燥製品貯蔵に関する諸問題について検討した内外の研究結果および自己の行つた研究結果をもとに、凍結乾燥食品についての概略をのべ、あわせてその問題点とその将来性について述べる。
- 低温生物工学会の論文
- 1961-04-08