漁家林家の土地保有と就業形態 : 山形県温海町小岩川の事例(自由論題論文,1995年秋季大会)
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概要
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現在,背後に丘陵地帯をひかえる海岸部においては,自給的農・漁業+賃労働の世帯が零細山林所有者,つまり漁家林家として多く存在していると考えられるが,統計でそれらの現状は把握されていない。本論文は山形県温海町小岩川集落を対象とし,各世帯の職歴等を聞き取り調査し,あわせて農協・森組・統計情報事務所の各資料をふまえ,戦後からの就業形態を土地保有規模により史的に考察したものである。耕地保有者のほとんどが森林所有者であるのだが,その就業形態の結果は,耕地規模30a未満層で戦前期から1955年にかけて,主に漁業への就業を開始しており,漁業が集落における相対的中小耕地保有者によって担われてきたことがいえる。しかし耕地規模30a以上層であっても,平均水田面積33aという小規模農家であることから,'60年以降の農林産物輸入を契機とし,主業を農業から出稼ぎ大工に移行せざるを得なかった。このような結果として,漁家林家を含めた,家族多就業構造が存在するが,この構造は国家独占資本主義のもとにおける労賃の農林漁業のそれとの乖離の結果であり,零細土地所有構造とあわせて存在する。
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