地震に伴う断層の環状分布について(その1) : 本州東北部から中央部に至る地域(<特集>島弧の深部構造-地質・地震・地震波トモグラフィによる解析(I))
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概要
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日本列島の本州中央部にあたる東北地方南部から関東地方,中部地方,近畿地方に至る地域に発生した浅発地震と深発地震のP波初動分布から地震に伴う断層の走向とその性質について検討した.地震に伴う断層は,P波初動を分ける二つの節面のうちのどちらかの節面に沿って行われるが,二つの節面の走向が平行するP波初動分布を示す型では,断層の走向は一義的に決まり,一つの節面が急で他の節面がゆるい型では,前者が付近に発生した二つの節面が平行する型の節面と平行する傾向があるので,急な節面にそって断層運動が行われると考えた.東北地方南部から関東地方北部にかけての地域では,越後山脈ないし足尾山地を中心として,浅発地震と深発地震に伴う断層は環状に配列する.その拡がりは200-300kmに達する.これら各地で正断層と逆断層の活動が行われている.関東地方南部から中部地方・近畿地方に至る地域では,飛騨高地南部を中心に浅発地震と深発地震に伴う東西450km,南北200kmの拡がりをもつ楕円状の環状分布が見られる.なお紀伊半島には浅発地震に伴う方形の環状分布が見られる.この地域における深発地震に伴う断層の分布形状については分らない.断層は,この地域でも正断層と逆断層の両者の活動が見られる.浅発地震と深発地震に伴う断層がお互いに平行するのは,上記の環状分布が浅部から深部に向かってほぼ鉛直に伸びていることを示唆するものと考えられる.深発地震と浅発地震がお互いに相呼応して活動する傾向は,このような構造によるものであろう.浅発地震と深発地震の活動域にはさまれて楔状の地震活動の不活発な領域があるのは,歪みの集積を許さない状態にあることによるものであろう.
- 2009-07-25
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