磁気乱流駆動の円盤風による原始惑星系円盤ガスの散逸
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概要
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惑星は,誕生直後の恒星を取り巻く原始惑星系円盤で形成されると考えられている.原始惑星系円盤の観測により,円盤は100万年から1000万年程度で消失すると考えられているが,様々な観測を矛盾なく説明する散逸機構は,これまで知られていない.本稿では,円盤内の磁気流体乱流により駆動された円盤風-これまでは完全に見落とされた過程である-が,円盤のガス成分の散逸に主要な寄与をすることを紹介する.円盤風によるガスの散逸は,円盤回転周期の短い内側から開始するため,円盤内側の領域でのガスの面密度は非常に早く減少する一方,円盤外側のガスは長期間残される.これは,円盤中心付近に穴を持つ遷移期円盤の観測的特徴を説明するものである.円盤風による質量損失率は,これまで主要な機構と考えられていた中心星からの紫外光加熱による質量損失率を上回り,円盤風機構がより主要な機構であることを示している.さらに,円盤風による円盤内側のガスの消失は,(1)岩石サイズの固体成分の中心星への落下を遅らせ微惑星形成にとって都合が良い.(2)地球型惑星の中心星への落下を回避させる可能性がある.など,円盤風機構が惑星形成過程に与える影響を議論する.
- 2009-09-25
著者
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鈴木 建
東京大学大学院総合文化研究科
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武藤 恭之
京都大学大学院理学研究科物理学第二教室
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犬塚 修一郎
名古屋大学大学院理学研究科素粒子宇宙物理学専攻
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武藤 恭之
京都大学大学院理学研究科
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犬塚 修一郎
名古屋大学大学院理学研究科
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犬塚 修一郎
名古屋大学
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