粉塵および刺激性ガスによる生体反応に関する実験的研究 : モルモットにおける鉄粉とP-キノンの気道系に及ぼす影響について
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概要
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汚染大気の生体への侵襲は気道系において著しく,粒状あるいはガス状の汚染物質が多くの場合は共存して生体に複雑な影響を与えている。そこで著者は,この両者が単独または共存した場合に起こす生体反応の基本像を探るため,金属粉塵のモデルとして鉄粉を,また刺激性ガスのモデルとしてP-キノンを採り上げ,これを単独またはともにモルモットに吸入させる実験を行ない,肺と気管とくに気管壁の変化を光学顕微鏡によって病理組織学的に検索し,つぎの結果を得た。1.鉄粉,P-キノンを単独またはともに吸入させた場合,モルモット気管上皮のPAS反応弱陽性に認められる基底膜にそれぞれ差異のある変化が見られた.すなわち,鉄粉単独では基底膜はほとんど影響を受けず,P-キノン単独では,基底膜の迂曲や断裂が目立った。また,鉄粉とP-キノン両者吸入では,気管上皮の変化と基底膜の変化とが複雑に組み合わされ,かつ修復が著しく遅れた。2.鉄粉とP-キノン両者吸入の場合には相乗的障害効果が明らかであり,その強さは両者吸入の間隔が短かいほど大きかった。3.鉄粉は主として気管上皮に,P-キノンは主として肺内気管支,肺胞に障害を及ぼした。
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