いわゆる寒冷凝集素とその交差試験におよぼす影響について
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概要
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ヒト血清中には,低温において赤血球を凝集するいわゆる寒冷凝集素が常在している。日常行なわれている交差試験にみられる疑陽性の反応はこの寒冷凝集素の影響によるものではないかと考え検討した結果,血清中に見られる寒冷凝集素のみならず,血球に吸着されている寒冷凝集素もまた多大の影響をおよぼすことを明らかにした。このような不都合な現象を予防するには,まず低温下において血清を分離すべきであり,血球浮遊液は37°以上に保温した生食水を使用して洗滌することが必要であることを知った。ところでこの寒冷凝集素は,非特異的であり,型特異性はないものと考えられてきたが,1式血液型の発見以来必ずしも単一なものではなく,特異性を異にするものがあると考えられるようになったので,その特異性について検討を加えたところ,まずこれら凝集素はトリプシン処理血球と反応するものと反応しないものとに2分され,さらに前者を5群に区分できた。すなわち,1)加賀谷・アイスラーの抗体様活性を示すもの,2)抗Hの活性を示すもの,3)抗Lewis様活性を示すもの,4)フォルスマン抗体様活性を示すもの,および5)所属不明のもの,であった。なおトリプシン処理血球に反応しないものは非特異的な冷式抗体であり,従来からいわれているいわゆる寒冷凝集素と考えられた。
著者
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