緊張性振動反射のH波による検討(神経内科学的研究,<特集>脳と神経の研究VIII-脳と神経の障害と修復-)
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概要
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緊張性振動反射の脊髄機能におよぼす変化をみるため,誘発筋電図法によりH彼を用いて検討した。1.アキレス腱部の振動刺激により,ヒラメ筋のH波振幅は低下をきたすが,この現象をおこす因子の大部分は,筋紡錘より発するGIa線維のインパルスの増加によるものと思われる。脊髄シナプスでは,presynaptic inhibition,occlusionなどの抑制因子が考えられているが,2重刺激法による過常期の出現,振動刺激開始直後のH波振幅の増大などより,単純な抑制ではなく,促通と抑刺の競合によるものと考えざるをえない。2.上位中枢の影響のとれた脊髄損傷の例でみると,正常人と同じく振動刺激によりH波振幅の低下,および2重刺激法により通常期のみられることなどから,振動刺激によるH彼の変化は,基本的には,その反射弓,または多くとも数節以内の脊髄レベルでおこりうることを示している。3.小脳性失調症のみられる症例を2重刺激法で検査したところ,通常期は全例にみられなかった。このことから,振動刺激により過常期を生ぜしめる系と,小脳性失調症をおこす障害された系が,関連性を有していることが想像される。4.外傷性小脳性失調症の例を,経過をおって検査をしたところ,H波の態度の正常化と,臨床症状の改善とが平行することがわかった。5.小脳性失調症を呈する患者は,振動刺激によるH波の変化が正常人と異なるのみでなく,Jendrassik氏法手技により,振動刺激を加えたときも,加えないときも,正常人と異なりH波振幅の増大をきたさない。このことから,Jendrassik氏法によるfeed forward系に小脳系が関与していると思われる。
- 千葉大学の論文
著者
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七辺 一三
清水厚生
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武井 義夫
小田原市立
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渡辺 誠介
千葉大学医学部第一内科学教室
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川口 新一郎
千葉大学医学部第一内科学教室
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渡辺 誠介
千葉県衛生短大
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七辺 一三
千葉大学医学部内科学第1
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川口 新一郎
君津中央病院
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松田 孝史
三宿病院整形外科
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永井 順
小田原市立病院内科
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