神経科領域よりみた頭部外傷後遺症の研究 : 特に経時的観察による脳波所見と愁訴との関係について(神経内科学的研究,<特集>脳と神経の研究VIII-脳と神経の障害と修復-)
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概要
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頭部外傷後の患者の長期にわたる諸状態,特にその愁訴と脳波の経時的変遷についての報告は少ない。著者は,当科外来におけるこれらの患者のうち18〜55才で,痙れん発作や脳器質的病変などを認めず,しかも初診時脳波が正常でない166名の長期通院患者を対象とし,その脳波パターンと愁訴との関連を中心に経時的に調査検討し,以下の成績ならびに結論を得た。1.これらの患者での異常脳波のパターンは,「不規則徐波」が61.5%で最も多く,「不規則低振幅波」および「不規則速波」は合計18.0%と少なく従来の報告とやや異なる。2.脳波が正常化する時期は受傷後4〜9ヵ月が最も多く57.3%で,全症例での正常化率は36.7%である。3.脳波パターン別の正常化率は「不規則速波」では43.7%だが,「不規則低振幅波」では14.3%にすぎない。4.脳波パターンと愁訴との間には特別な相関々係は認められないが,脳波正常化群と非正常化群でのそれぞれの自覚症状には興味ある相違が認められた。5.これらの患者ではCMIテストにより神経症的であるとされたものが31.3%と多い。以上の知見は,頭部外傷後遺症の治療およびび予後の判断に役立つものと考える。
- 千葉大学の論文
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