手指の運動を伴う遊びにおける脳波および覚醒度・快感度の変化について

概要

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本研究では,手指の運動を伴うあそびの中でも特に「あやとり」に注目した.手順の数や手指の動きなど難易度の異なる2つの「あやとり」課題を設定し,課題遂行中の生理心理的変化を測定し課題間で比較検討を行なった.課題はどちらも5分間継続して行なった.測定項目は,生理指標として脳波の周波数帯域別含有率の変化,心理指標として坂入らによる「心理的覚醒度・快感度を測定する二次元気分尺度」および遂行の自己評定とした.脳波の結果からは,簡単な課題において5分間の後半で頭頂部β波含有率の変化量が減少することが示された.また,心理指標の結果からは簡単な課題に比べ難しい課題で「低覚醒快」の得点が減少した.自己評定得点からは,難しい課題は簡単な課題に比べ自己評価は低いが集中して取り組んでいたことが示された.以上の結果から「あやとり」遊びの特徴として,上手くできたという感覚と手順を記憶し形を変化させることに集中することが,楽しさに繋がる要素であることが示された.そして,単純な動きの繰り返しよりも手順の数や手指の動きの難しさを伴う内容を行なうことで,集中や脳の活動性が持続されることが示唆された.
2009-04-25