「なよせ色竹」とその演劇史的意義
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ここに掲載する「なよせ色竹」は、京都大学文学部国文学研究室所蔵の遊女名寄である。序にあるように、土佐浄瑠璃の段物集「色竹」に擬して、浄瑠璃風に遊女の名を読み込んだものである。所収の段名は「色竹」所収の段名を用い、その各段に三十六軒の茶屋の名をあてはめている。本書には元禄六年の刊記があるので、所収の段物名がそれ以前の浄瑠璃であったことの確証とすることができる。土佐節の段物集「色竹」は、刊年の記されたものがないので、本書によって、それ以前刊行の「色竹」の内容を推定することができるのである。また、土佐浄瑠璃を軸として、元禄初年頃の演劇興行の年代推定にも役立てることができるものである。このように、本書は、元禄初年の江戸における遊廓や遊女の繁昌ぶりを物語るばかりでなく、演劇史料としても重要である。ここに全文を紹介し、その演劇史的意義について考察したいと思う。
- 東京女子大学の論文
- 1986-09-30
著者
関連論文
- 中将姫説話の近世演劇化 : 土佐浄瑠璃「中将姫」を中心にして(水野弥穂子教授記念号)
- 北京の扁担戯
- 土佐浄瑠璃主要音曲集覧(四)(鳥居フミ子教授記念号)
- 土佐浄瑠璃主要音曲集覧(三)
- 土佐浄瑠璃主要音曲集覧(二)(伊藤虎丸教授記念号)
- 土佐浄瑠璃主要音曲集覧(一)
- 「心中天の網島」における女どし
- 「源氏」とその特色
- 「正氏出世始」とその特色
- 土佐浄瑠璃「養老」の世界
- 木曾に蘇った浦島太郎(秋山虔教授記念号)
- 「浅草観音縁起」と夢の趣向
- 勧進帳劇の形成
- 高尾の戯曲化 : 土佐浄瑠璃「三世二河白道」をめぐって
- 絵入本「百日曽我」の二本をめぐる問題 : ケンブリッジ大学図書館所蔵本とパリ国立図書館所蔵本
- 土佐浄瑠璃と歌舞伎 : 「京四条おくに歌舞妓」と「当世小国歌舞妓」
- 聖徳太子伝の浄瑠璃化 : 土佐浄瑠璃「太子伝」を中心にして
- 土佐浄瑠璃「泰平篁」と謡曲 : 地獄巡りから月宮殿巡りへの展開
- 「なよせ色竹」とその演劇史的意義
- 國立臺灣大學所藏「上田文庫」目録