マルハナバチ類の外部捕食寄生者ミカドアリバチMutilla mikado Cameronの産卵習性
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概要
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ミカドアリバチはマルハナバチ類の前蛹や蛹の外部捕食寄生者で,ときには寄主のコロニーを崩壊させる重要な天敵である.2003年9〜10月に栃木県大田原市で,室内飼育によって本種の産卵習性を観察した結果,本種のメスは寄主繭の外部から針を突き刺して,繭内の寄主体表に卵を産下することが明らかになった.次の4点について観察結果を記述し,他種との比較考察を行った.1)継続観察に基づくメスの産卵行動,2)寄主体表での卵の産下位置と卵の付着状況および卵の形態,3)産卵時の寄主麻酔の有無と産卵された寄主の発育との関係,4)ミカドアリバチの針の形態.これらの観察結果および既知種での卵排出の観察記録から,ミカドアリバチにおける寄主体表への卵の産下過程は次のように考えられる.メスは針鞘で寄主の繭層を貫通し,針鞘を左右に開く.針を伸ばして寄主体表をさぐり,寄主を刺して麻酔する.生殖口から排出された卵は針の下面にある浅い溝状の窪みに接して下降し,先端まで滑り下りると寄主体表に軽く付着する.
- 2008-06-25