ランドマーク商品と欲望 (特集 ランドマーク商品に関する商品史的研究)
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概要
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歴史の変容を決定づけるランドマークは,商品に限らない。例えば,太陽が動くという前提から地球が動いているのだという前提への変化は,人間の考え方を根底から変え,その後のあらゆる分野での前提となった。このような前提の転換を,歴史変容のランドマークと考える。影響の長短・軽重はあるとしても,それが出現する以前と以後とで世の中を決然と変えてしまったランドマークとして,思想,政治,芸術,技術などが重要な役割を果たしてきたことは,むしろこれまで強調されてきた。しかし,生活の変容を中心に見た場合,「生活の前提」を変え,ライフスタイルを変え,新たなライフステージを提供し,それによって新たな「生活の体系」を創造する上で,商品の果たした役割は無視できない。「生活の前提」を変えるということは,それら前提の集合体としての「生活の体系」をも変えるということであり,ここにランドマーク商品の本来的意味がある。商品化の進展に凄まじい勢いで拍車がかかり続ける現代日本社会にあっては,ランドマーク商品の果たす,あるいは果たしてきた役割は大きく,それが抱える社会的な課題のいくつかはランドマーク商品に関わるものであり,その解決の鍵もランドマーク商品のなかにあるといえる。現代社会を変えることは,歴史のなかの商品を考えることであり,ランドマーク商品のパワーの内実を明らかにすることである。商品社会に住む人間の奥に潜む欲望のあり方が商品購入の動機の基盤をなすといっていい。これは「生活の前提」が変る理由とも関連し,商品が生まれ続ける要因とも関連している。本稿では,それに関して比較的よく知られている業績・評論を紹介した。ランドマーク商品の無批判的で安易な受容,それへの無自覚的で限りない依存という現代日本人の生活態度が,日本社会が抱える課題の背景に潜むことは否定しがたい。ランドマーク商品研究はあくまで歴史研究であるが,その目的は,商品を通して歴史(生活・社会)変容のランドマークを探り,ひいては現代社会の課題を明確にし,その解決に挑戦しようとするものである。
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