ミズナラ用材林作業法に関する研究 : 第4報 稚幼期の生長におよぼす側圧効果(試験開始後4年目の結果)
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概要
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この研究は,ミズナラ用材生産に適した作業法の構成および施業法の研究開発に関する基礎的資料を収集することを目的として,ミズナラ稚幼樹の樹高生長量・枝下高形成量・枝張拡張量・直径生長量・完満度が側圧程度すなわち単位面積当りの成立本数密度によって,どのように影響をうけるかを明らかにしようとするものである。以上の目的で,1964年6月に,九州大学北海道演習林第9林班の4年生ミズナラ林に試験地を設定し,4年後の1968年6月に測定した。この報告は,その結果についてのべたもので,その概要はつぎのとおりである。(1)樹高生長量は,側圧によって影響され,側圧が強くなるにしたがって,すなわち単位面積当りの成立本数が増加するにしたがって抑制される傾向を示すが,これは林分全体の平均木について認められる傾向であり,優勢木のみについては,本数密度に影響されず,ほぼ一定であるものと推測される。(2)枝下高形成量は,側圧によって影響され,側圧が強くなるにしたがって促進される頃向を示すが,ha当り42,800〜57,500本の側圧状態の範囲では,ほぼ一定であると推測される。(3)枝下高率は,側圧によって影響され,側圧が強くなるにしたがって促進される傾向を示すが,ha当り22,900〜57,500本の側圧状態の範囲では,ほぼ一定であると推測される。(4)枝張拡張量は,側圧によって影響され,側圧が強くなるにしたがって抑制される傾向を示すが,ha当り22,900〜57,500本の側圧状態の範囲では,ほぼ一定であると推測される。(5)直径生長量は,側圧によって影響され,側圧が強くなるにしたがって抑制される傾向を示すが,ha当り22,900〜57,500本の側圧状態の範囲では,ほぼ一定であると推測される。(6)完満度は,側圧によって影響され,側圧が強くなるにしたがって促進される傾向を示すが,ha当り22,900〜57,500本の側圧状態の範囲では,ほぼ一定であると推測される。(7)試験地設定後2年目の1966年の結果では,枝下高形成量および枝下高率に対する側圧効果は認められなかったが, 4年目の1968年には両者にも側圧効果が認められた。したがって側圧効果は,試験地設定後3年目以降になると,枝下高・枝下高率のほか,他の形質生長にも,より大きく影響するものと推測される。(8)細枝性の保持,確定した主軸および通直な主幹の形成に対して,側圧効果はきわめて有効であると推測される。(9)側圧効果は,稚幼期におけるミズナラの形質生長の助長にきわめて有効であり,幼令期まで上層木の樹冠相互間に適度の側圧効果をおよぼし合わせたならば,ミズナラの優良な用材は生産できるものと考えられる。(10)ミズナラ用材生産に適しか作業法の構成においては,4年生林分でha当り約20,000〜25,000本の成立本数を確保することを目標として,その目標本数を確保できる程度の,きわめて多量の稚苗成立が期待できる更新法あるいは伐採法を採用しなければならない。(11)ミズナラ用材林施業における幼令期までの保育施業では,上層木の樹冠がつねに単層一斉の状態を構成して,たがいに適度の側圧効果をおよぼし合っているようにしなければならない。ことに,その側圧効果によって,稚幼樹に確定した主軸および通直な主幹を形成させることに重点をおいて保育施業を実行しなければならない。
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