肺動脈形成を伴う肺葉切除術と肺摘除術について

概要

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1985年4月より1995年4月までに縦隔リンパ節郭清を施行した病理刑期III期の肺動脈形成術を伴う肺葉切除群14例(以下肺動脈形成群)と肺病除19例(以下肺病除群)の適応,術後の呼吸機能,予後について検討した.その結果,術中出血量,手術時間については肺動脈形成群が856±348ml, 306±77分であるのに比し,肺病除群は1146±1258ml, 252±56分であり,肺動脈形成群の方が手術時間は有意に(P<0.05)長いものの,出血量は比較的少ない傾向を認めた.1ヵ月後の呼吸機能検査所見では,肺動脈形成群でVCが3.54±1.17 (L)より2.22±0.69(L)に,FEV_<1.0>が2.47±0.9(L/S)より1.75±0.62(L/S)に減少し,減少率ではVCおよびFEV_<1.0>が67.7±9.1%および81.3±16.1%であった.一方,肺病除群ではVCが3.16±0.57(L)より1.80±0.29(L)に,FEV_<1.0>が2.03±0.54(L/S)より1.19±0.35(L/S)に減少し,減少率ではVC,FEVが59.7±12.0%, 59.0±11.7%であった.減少率でみるとVC, FEV_<1.0>ともに,肺動脈形成群の方が肺病除群に比べて少く,術後の呼吸機能の温存が得られたものと考えられる.予後に関しては肺動脈形成群が5年生存を得た症例がなかったのに比べ,肺病除群では18.4%であり肺病除群の方が良好であった.
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会の論文
1996-07-15