7. 居住生活支障を考慮したライフライン系の地震時機能障害の評価法
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概要
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地震被害によって水・ガス等のライフライン機能が停止した場合,数多くの利用者に機能的被害が波及するため,累積機能被害を低減し,利用者の困窮を抑制することが重要である。こうした観点から地震防災対策を推進することには,サービス水準定価による利用者の困窮度を定量的に評価する方法を確立することが要件となる。本研究では,ライフライン機能の地震時障害によって利用者が被る生活支障の時間的変動を評価するモデルを提案し,既往地震における上水道システム被害への適用例を示した。ここで提案した評価モデルは,(1)ライフライン機能の回復過程を「復旧曲線」とし,(2)利用者が地震後の各時間断面において受けているサービスに対して感じている充足度を「利用者単位の充足度曲線」として記述し,(3)「復旧曲線」を重みとして「利用者単位の充足度曲線」を加重平均して「利用者全体の充足度」の時系列的変動を記述するものである。また,利用者全体の充足度の累積値を利用して,利用者の生活支障の総合表価値TDを定義した。本評価モデルを上水道システムの地震被害へ適用した。まず,1964年新潟地震における新潟市,1978年宮城県沖地震における仙台市・塩釜市・泉市・石巻市,1983年日本海中部地震における男鹿市・能代市の計7つの被災都市における上水道被害と復旧過程,応急給水状況を整理し,相互の比較が可能となるように統一的なフォーマットで各種のパラメータを抽出した。次に,応急給水状況を鑑みて,3および18(t/人・日)の2段階の応急復旧と断水解消という本復旧の計3レベルの復旧段階を設定し,利用者単位の充足度曲線のパラメータを与えた。それぞれの被災としについて,加重平均法によって利用者全体の充足度曲線を求め,地震防災対策と生活支障低減の関係について考察を行った。応急給水の効果が最も顕著であったのは男鹿市であり,ついで新潟市,塩釜市,仙台市の順であった。能代市では応急給水の効果はかなり小さく,泉市,石巻市ではほとんど効果がなかったという結果が得られた。さらに,能代市について,東大新聞研のアンケート調査の成果を取り入れるなどして,やや詳しい考察を行い,応急給水および利用者備蓄と生活支障の軽減の関わりを実証した。
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