3. フィリピン・ルソン島地震によるバギオ地域のライフライン被害調査
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概要
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1990年7月16日、マグニチュード7.8の地震が、フィリピンのルソン島中北部を震源として発生した。この地震による被害は広い地域におよび、バギオにおける高級ホテルなど多数の建築物の倒壊、ダグバンにおける大規模な液状化の発生、震源地付近で延長約120kmにわたって地表に現れた断層などが、多くの人々の注目を集めた。この報告では、土木学会フィリピン地震調査団の一員として地震1ヶ月後に現地調査を行った著者が、主に担当したバギオ地域のライフライン施設の被害について報告する。まずバギオ市の上水道は、大きな被害を被った。最大の水源地の地盤災害などにより、市の給水能力は大きく低下していた。管路の破損はいたるところで生じていたが、休日返上で精力的に復旧に努めていた。下水道は、フィリピンでは唯一の近代的な処理場を持つが、管路網の不備でもともと充分には機能していなかったが、地震後はそれがさらに悪化していた。電力供給は、変電所や配電線にかなりの被害を受けたが、他の電力会社の応援などを受け、被害の割には復旧は順調だった。電話は局舎や機器に被害があったが、市内通話は4〜5日で復旧、長距離はもともと回線が不足気味で、地震後は接続困難な状態が続いている。バギオではその建築物の被害かあまりに大きいため、水道や電力の被害は余り目立っていないが、市民全員が多かれ少なかれ生活に支障をきたしていた。またこの高原の町へ入る道路の多くが閉鎖中で、孤立した状態が続いていた。日本とも関係の深いこの町が、早くもとの美しい姿に復興することを願っている。
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